【toとforの使い分け】「I teach English for kids.」は間違い?

「音」から学ぶ英会話スクールe-phonics Academyの坂下えつこです。
英語を学ぶとき、日本人にとってのある“落とし穴”があります。それは “for”を何でも「〜のために」と訳してしまうこと。
日本人がつまずきやすい「to」と「for」の使い分けをスッキリ理解できるように解説します!
例えばこんな英文:「私は子どもに英語を教えています」を英語にしよう!と思うとついついこう考えたくなってしまいませんか?
私は / 教えています / 英語を / 子どもに(子どものために)
I / teach / English / for / kids.
一見、正しそうに見えますよね?でも実はこれは自然な英語ではありません。
正しい文は?
私は / 教えています / 英語を / 子どもに
I / teach / English / to / kids.
なぜ「to」なのか?そこには、ネイティブが感覚的に使い分けている明確な違いがあるんです。
「to」と「for」の使い分けルール
●「to」は“相手がいて初めて成立する動作”につかう
→ 何かを渡す/伝える/送る/話す/教える など、行為の相手が明確に存在するときに使います。
・I gave the book to my friend.(友達に本をあげた)
・She explained the rules to us.(彼女は私たちにルールを説明した)
・He teaches math to high school students.(彼は高校生に数学を教えている)
●「for」は“相手がいなくてもできる動作”につかう
→ その人の利益のために何かをするときに使います。
・I bought this cake for you.(あなたのためにこのケーキを買った)
・She cooked dinner for her family.(彼女は家族のために夕食を作った)
・They made a card for their teacher.(彼らは先生のためにカードを作った)
なぜ「I teach English for kids.」が変なの?
「teach(教える)」という動詞は、“誰かに”教える=教える相手が必要な動作です。
つまり「to」がぴったり。
I teach English to kids. → 子どもに英語を教える
※どうしても「〜のために英語を教えている」と言いたい場合は、for the benefit of kids など特殊な表現が必要ですが、日常会話ではほぼ使いません。
よくある「to / for」間違いパターン
間違い例 |
正しい例 |
理由 |
I sent a letter for her. |
I sent a letter to her. |
「手紙を送る」は相手が必要=to |
He read a book to himself. |
He read a book for himself. |
自分のために読んだ=for |
I bought a gift to him. |
I bought a gift for him. |
「プレゼントを買う」は渡す前の行為=for |
I made lunch to my kids. |
I made lunch for my kids. |
子どものために作る=for |
迷ったらこの視点で!
-
相手がいて、その人に向けた動作なら「to」
-
相手のためにしているけど、直接関わっていないなら「for」
「to」と「for」の使い分けがはっきり出る動詞の例
1. give(与える)
・I gave the book to my brother.→ 弟にその本をあげた(本の受け取り手)
・I bought the book for my brother.→ 弟のためにその本を買った(弟の利益のため)
2. read(読む)
・I read the story to my daughter.→ 娘にその物語を読んであげた(娘が聞き手)
・I read the book for my daughter.→ 娘の代わりに読んだ(たとえば学校の課題など)
3. write(書く)
・He wrote a letter to his boss.→ 上司に手紙を書いた(受け取り手)
・He wrote a letter for his boss.→ 上司の代わりに手紙を書いた(秘書的役割など)
4. make(作る)
・She made a cake for her mom.→ お母さんのためにケーキを作った(お母さんが食べる)
× She made a cake to her mom.→ この場合「to」は使えません→ 「make」は基本的に「for」を使う動詞
5. say(言う)
・He said hello to everyone.→ みんなに「こんにちは」と言った(言葉の受け手)
× He said hello for everyone. → 意味不明 or 「みんなの代わりに挨拶した」という特殊な場面以外では×→ sayは通常「to」を使います
まとめ:動詞によって「to/for」の傾向あり!
動詞 |
to |
for |
give |
○(与える相手) |
○(誰かのために買うなど) |
send |
○(送り先) |
○(代理で送る) |
read |
○(読み聞かせ) |
○(代わりに読む) |
write |
○(手紙の宛先) |
○(代筆) |
make |
× |
○(利益のために作る) |
say |
○(言葉の受け手) |
×(普通は使わない) |
日本語の「〜のために」は便利だけど、英語では「to」と「for」で感覚が違います。
最初は戸惑うかもしれませんが、「誰が必要か?」「自分一人でできるか?」を意識すると、だんだん感覚がつかめてきますよ!
英語の“通じるけど不自然”を卒業して、伝わる+ナチュラルな英語を一緒に目指しましょう。